家づくりQ&Aブログ
人気の「土間」お家にどう取り入れる?活用法とメリット・デメリットをご紹介!
こんにちは!エクセレントホームの千野です。
近年注目を集めている「土間」。土足で立ち入ることができ、外からの汚れなどを気にせずお家の中の空間を有効活用できます。ですが、メリット・デメリットを考えずに土間を設けてしまうと後悔につながる可能性もあります。
この記事では、土間空間の活用法や、失敗しないためのポイントを解説します。
そもそも「土間」って何?魅力は?
屋内で、床を張らずに土足で歩くように作られたところを土間といいます。
日本での土間の歴史は古く、なんと縄文時代の竪穴式住居からになります。当時は床全体が「土間」であり、その上に藁などを敷いて暮らしていました。江戸時代になり、〈土間+小上り+畳〉の様式になります。近所の人や客人との交流の場として、プライベート空間とパブリック(交流)空間を繋ぐ中間領域、お家の中の空間と外の空間を繋ぐ中間のようなスペースとして活用されるようになりました。改めて考えると、曖昧力を象徴するような、なんとも日本らしい空間ですね。
昭和初期頃の古い民家などでは、玄関をくぐると、居室との間に土足で歩ける土間を設けています。雨天時には農機具や漁具の手入れをする作業場であり、炊事場とかまどを設けて煮炊きする場としていました。その理由は、掃除が容易であり、床が腐ることもなく、火が燃え移るリスクが低いという利点がありました。このように昔の住宅では、多機能的な生活空間として、「土間」が取り入れられていました。
今でいえば、キッチンであり、ガレージであり、作業場、収納、また交流の場としての空間ですね。近年、まさに昔ながらの使い方として、ご自宅に「土間」を検討する方が増えているようです。
それでは、便利な土間空間の取り入れ方とそのメリット・デメリットをご説明します。
土間の使い方① 土間キッチン
昔ながらの日本家屋にある活用法として、キッチンの床を土間にした「土間キッチン」があります。
先にふれたように、もともと炊事場として使われていた土間の特性はキッチンに向いているといえるでしょう。勝手口から外とつながる古民家風のキッチンなどを目指したい方が取り入れたり、家庭菜園などに興味のある方は、土のついた野菜の保存の処理や作業の場にしたりと大活躍しそうですね。
土間キッチンのメリット
土間の特徴として床面が土足で上がるように作られている事で、水や汚れに対して、居室のように気にしなくてもよい事が挙げられます。毎日使うキッチンは油や水汚れなどが付きやすくお手入れも大変ですが、土間キッチンなら水を使って流せるので、居室のキッチンに比べて簡単に汚れを落とすことができます。お手入れのしやすさは大きなメリットではないでしょうか?
土間といえば外と繋がる空間ですので、物を運び入れやすいという長所もあります。玄関から繋がる間取りなら、買い物から帰って靴のまま荷物の運び入れが出来ます。天気の良い日ばかりではないですし、濡れていたり汚れていたりする時でも、土間なら気にせず出入りできますよね。また、キッチンだけでなくダイニングとしてテーブルを置けば、お友達を呼んでお家カフェのような使い方もでき、気軽に立ち寄れる空間になることでしょう。
土間キッチンのデメリット
キッチンとの相性の良い土間ですが、冬の時期には、底冷えしやすいという短所があります。
土間は外と繋がっているため、外気の影響も受けやすくなります。夏場は快適に過ごせますが、冬場はやはり温まりにくく足元が冷えてしまいます。
また、お手入れはしやすいものの、土足で出入りする所となるので、キッチンとして使う上で、衛生面、埃や汚れが気になる場面も出てきます。
そして、キッチンに限った事ではないですが、外と繋がる玄関からの動線など、理想の条件を満たす間取り、家の配置、施工面積などをよく考える必要があります。
土間キッチンで失敗しないコツ
キッチンにするのであれば、お手入れしやすい、汚れにくい素材を使うことがポイントでしょう。よく使われるのはコンクリート、モルタルの土間です。土間といえばこの床をイメージする方がほとんどではないでしょうか。仕上げは金鏝仕上げがおすすめです。水で流しやすく、お手入れが簡単です。〈床が金鏝仕上げの土間〉
ただ、どうしてもコンクリートは細いヒビ(クラック)が入る事があります。気になるという方は、タイル張りが良いでしょう。玄関と繋がる間取りなら同じタイルを選んでも良いでしょう。玄関ドアなどで見切れていれば、玄関の中と外で違うタイルを貼ることもできます。ただ、外用の目が粗く、ざらざらが強いタイルは汚れが残りやすいので、選ぶなら目の細かいものがおすすめです。
土間キッチンは、玄関と繋がった空間を作ったり、玄関ではなく勝手口から繋がる土間空間にしたりなど、予算と理想と悩ましい事が様々あるかと思います。しかし、メリット・デメリットを考えた上で、優先順位を決めて、これだけは叶えたい!こんな事をしたい!というイメージを固める事が一番大事です!
土間の使い方②土間収納
収納スペースの床を土間にすれば、収納する物も選ばず、使い方の幅は大きく広がります。
玄関から土間続きになっている収納スペース、シューズクロークなどが一般的な土間収納と呼ばれるものです。他には、駐車スペースや庭に面した一角に物置として外側から出し入れする収納、玄関ポーチを広く取りポーチから使える土間収納など、一口に土間収納といっても色んなタイプがあります。玄関から土間続きになっている収納スペースは屋内になるため、外気の影響を受けにくくなります。置くものによって、土間収納を屋内・屋外に設置するか、外からも家の中からもアクセス出来るようにするかを検討する必要があります。
土間収納のメリット
主に外で使う物を収納しやすく、取り出しやすい事が最大のメリットです。玄関から土間続きの収納はこの利点を最大限に活用できます。外から帰ってきて濡れたコートや、お家の中に持っていくには汚れが気になるベビーカー、傘や靴の収納スペースとして使うことができます。玄関と繋がっていることで、お出掛けの際にはすぐに取り出すことができ、重宝しているというお声もよくいただきます。
外側の収納には、アウトドア用品、スポーツ用品、自転車等、使用頻度が少ないものの収納や、タイヤ置き場や除雪道具などの季節用品の収納がメインになります。玄関土間の延長などの室内に設ける土間収納では、収納としての使い方だけでなく、玄関からの土間を大きく取り、アウトドア用品や自転車などをディスプレイして、見せる収納をインテリア的に取り入れるのもいいですね。
土間収納のデメリット
玄関にも言える事ですが、室内に土間収納を設ける場合は、雨の日や濡れたものを置くとどうしても湿気がこもりやすくなります。空気を回す、換気扇を設けるなど、換気の考慮が必要です。
収納を設ければ、当然他の居室のスペースが減ってしまいます。面積の配分などで使いやすさも変わりますが、面積の取り合いになってしまいます。玄関土間続きの収納の場合、靴や傘、雨具類などの、片づけにくく乱雑になりがちな物が人目に触れてしまう事があります。
土間収納で失敗しないコツ
収納スペースである以上、壁をフルに活用して、棚やハンガーパイプなどで床から手の届く高さまでは物を置けるようにしましょう。棚の他にも、有孔ボードとフックで吊り下げられる壁を作る方法もあります。シューズクロークなどの目隠ししておきたい収納は、ロールスクリーンですぐに目隠し出来る工夫や、収納の入り口は建具をつけてしまう等対策を考えるとよいでしょう。また、コンセントはあると便利です。掃除機置き場にして充電したり、除湿器を置いたりなどして活用ができます。
最後に、メリットは大きい土間収納ですが、収納する物と相談して、どのくらいのスペースが必要かを見極める事が肝心です。必要以上に広くしてしまうことで、住まいの空間を削ってしまうことを忘れずに設計しましょう。
土間の取り入れ方③土間リビング
土間の活用法として、「土間リビング」を取り入れる方も増えてきています。先述した通り、土足での使用を前提としており、外と中の中間的な空間である土間をリビングとして使う間取りです。外と繋がったリビングということで、特にアウトドアがお好きな方に人気があります。
ガーデニングが好きな方は植物を愛でたり、キャンプ好きの方はギアをディスプレイして趣味の空間として楽しんだり、釣り好きの方は、ロッドやリール、ルアーなどを飾ったりするのも良いかもしれませんね!
また、薪ストーブとの相性も抜群です。熱に強いタイルを床に張り、煤や灰など、お手入れの際の汚れも、土間であれば気にせずメンテナンスが出来ます。居室の床にはちょっと置きたくない薪も、土間なら積んでおいても様になります。アウトドア好きの方には想像するだけでワクワクするような使い方ができます。
また、土間をコンクリートやタイルの床にすることでスタイリッシュな空間になるので、アウトドア好きでなくとも、クールなイメージのリビングを目指す方にもおすすめです。
土間リビングのメリット
コンクリートやタイルの床を用いた土間リビングは、外と室内を区別せず色々な使い方ができるようになります。リビングダイニングとしてはもちろんのこと、お子様やペットの遊び場にしたり、趣味の自転車やバイクのメンテナンスの場にしたりと様々な楽しみ方があります。
また、インテリアの自由度も上がります。
好きなものをたくさん置いてもインテリアとして成立させてしまいますし、こだわりのソファーセットをひとつだけ置くなどのシンプルなレイアウトも素敵になりますよ。そして、タイル・コンクリートなど、床材によって他の部屋との雰囲気を変えられるのも良いところです。
機能面でも、夏場は風通しが良く、コンクリートやタイルの素材が熱を奪うので、冷たい空気が伝わりやすく快適に過ごせるのが土間リビングのメリットです。
また、他の部屋や外とのつながりから、空間の広がりを感じられ、実際の広さよりもお部屋が大きく感じられます。
土間リビングのデメリット
夏場の涼しさの裏返しで、やはり冬の冷え込みは土間リビングのデメリットと言えるでしょう。床材の材質上、底冷えは否めません。
また、土間という構造上、どうしても居室の床の高さとは段差が出来てしまいます。段差のある部屋の行き来には、当然不便です。加えて、土間は土足ですが居室では当然靴を脱ぐわけなので、靴の脱ぎ履きも煩わしいと感じるかもしれません。
土間リビングで失敗しないコツ
メリットであり、デメリットでもある床材のひんやり感。冬の寒さが心配な方は、薪ストーブを設置するほか、家全体の断熱性を上げる仕様の導入や床の断熱材の変更などを検討されるのがおすすめです。
間取り的には、外気の流れ込みやすさを考慮し、風の通り道となる位置にサッシを設置して玄関や庭からひとつづきになるよう検討するのが良いかと思います。
また、空間の雰囲気に影響する床材選びも重要です。リビングであれば、材質、色にもこだわりたいところですね。定番はやはり機能的でどんな色にも合うコンクリートです。タイルもおすすめです。サイズ、形、色など、個性を出しやすく、選択の幅が広がりますね。
まとめ 土間で失敗しないポイント!
土間空間を設けるのに重要なポイントは、「床材選び」と「冷え込み対策」、「間取り」の3つです。
床材はコンクリートかタイルが主流ですが、色味も含め、お好みを考えてみましょう。タイルであれば張替えという模様替えも可能です。コンクリートは打ち直しというとなかなか大変ですので、後からタイルを張るという方法もあります。
また、夏場の快適さとセットで、冬場の冷え込みは理解しておきましょう。リビングであれば、相性が良く温かい薪ストーブを設置するという選択肢もあります。
一番のお悩みポイントになる間取りは、どこの外と繋がる空間にするのか、空気の流れや動線をイメージして考えてみましょう。悩ましいですが、土間のある生活を思い描くのは楽しい時間かもしれませんね。
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